ベトナムは、豊かで美しい国です。
豊かな森、豊かな川、豊かな海、雨と太陽。市場には果物、野菜、肉や魚があふれ、ベトナムが豊かな土地であることが感じられます。
しかし、旅行をしていると、街中のごみが。先日訪れたメコンデルタの街は、ごみの街、ごみの川となっていました。美しいメコン川、メコンデルタ。しかし、そこらじゅうにごみが。
勝手ながら、愛するベトナムのごみ問題を何とかし、本来の美しいベトナムを守りたい。
そこで、素人ながら、私が見たごみ問題について考え、解決について考えたいと思います。
公園を掃除する人々↑
目次
1.都市ごとの街中のごみ
2.ごみの種類
3.ごみを捨てているのはだれか
4.掃除をする人々
5.地方に行くほど、ごみが多い?
6.船頭さんがくれた、ごみだらけのメコンデルタに咲いた美しい花「リリー」に思う
7.舟のプロペラにからみつくプラスチックごみ
8.ごみ問題の解決に向けて市民と観光客ができること
9.最後に
本編
1.都市ごとの街中のごみ
私が旅したハノイ、ダナン、ホイアン、カントーの街中に捨てられたごみの量を比較すると、多い順に
カントー≽ホイアン>ダナン>ハノイ
でした。私の個人的な感覚ですが。ハノイの街にもごみはありますが、そこまでは気にならなかったと思います。
街中に捨てられているごみの量がダントツに多かったのはカントーです。特にも、ニンキウ公園周辺、川沿い、川の中はごみが多かったです。
市場のようす↑
川のごみ↑
2.ごみの種類
私が見たごみの内容は、
・屋台ご飯のテイクアウトの容器(発泡スチロールの容器、ドリンクのコップ、ストロー、フォーク、スプーン等)
・魚などを入れていたであろう発泡スチロールの大きな箱
・いわゆる無料のレジ袋
・たばこの箱
・クジ(おそらくはずれ券)
・割りばし
・竹串
・段ボール
・ペットボトル
・プラスチックの容器
・お菓子などの食べ物の包装
・ココナッツの殻
・その他
です。
特に、ベトナムの人にとって生活に欠かせない屋台から出るごみの量は膨大です。しかも、そのほとんどがプラスチックです。プラスチックは便利ですが、食べ終わればごみになります。
たったの20分で、きれいで便利なプラスチックはごみになります。
川沿いに建つ家の真下のごみ↑
3.ごみを捨てているのはだれなのか
これだけのごみを、いったい、いつ、だれが、どのように捨てているのでしょうか。
旅行者は見ました。だれがごみを捨てているのか。
①フェリーから、飲み終わったペットボトルとビニル袋をポイっと川に捨てたおじさん
②ニンキウ公園でガムをペッと吐いた女の子
③側溝の網の上に、ごみが入ったビニル袋をポンっと置いた青年
④路駐していた立派な車の運転席のドアからそっとごみを置いた男性
私がカントーに滞在中、気づいたのはこの4回でした。
観光客なのかと思いましたが、私が目撃した範囲では地元の方が捨てていました。
そのほか、ドリンクを飲み終わった後も氷やフルーツの皮を川に捨てている人もいましたが、こちらは自然のものなのでセーフとしたいと思います。
それにしても疑問なのは、
街中にゴミ箱はたくさんあるのに、なぜゴミ箱にゴミを捨てないのか。
何なら、(まだ入る)ゴミ箱の周りがゴミだらけなのは、なぜなのか。
ということです。
4.掃除をする人々
ベトナム人は、よくお掃除しています。
お店の前を掃き、公園を掃き、市場を掃き、自分の家の前を掃き…。
旅行中も、お掃除している人をよく見ます。
ダナンでは、ブラシで道の端のごみを回収する清掃車も見かけました。
ちゃんと、街をきれいにしようとしているのです。
分別用のごみ箱もあります。
しかし、掃除する人がいる一方で、たくさんの人がごみを捨てています。
5.地方にいくほど、ゴミが多い?
ハノイはそこまで街中のゴミは多くなかったと思います。
ダナンやホイアンにはややあり、カントーにはたくさんありました。
もしかしたら地方へ行くほどゴミ、とりわけプラスチックのゴミに対する認識がおおらか(甘い)ということなのではないでしょうか。
カントーの人々のようすを見ていると、ゴミを捨てることに特に悪意は無く、自然に行っているように見えました。ということは、ゴミに対する意識が都市によって差があるのかもしれません。
また、よく観察していると、その家や店の人が玄関前をほうきではいている光景をよく見ます。しかし、その周りにはごみが。ということは「自分の家や店の周りはきれいにするけれども、それ以外はゴミを捨てても大丈夫。」という意識なのではないでしょうか。
6.メコンクルーズの船頭さんがくれた、ゴミだらけのメコンデルタに咲いた美しい花「リリー」に思う
メコンクルーズのツアーで舟を運転してくれた船頭のおばあさんは、笑顔が素敵な人でした。
雄大なメコン川を見せてくれ、メコンデルタの緑あふれる小さな美しい川を案内してくれ、カントー川のほとりに暮らす人々の生活も見せてくれました。
カントー川の1本隣の小さな川沿いには家々が並び、川とともに生きる人たちの生活を垣間見ることができました。しかし、その川はお世辞にもきれいとは言えませんでした。家の下や川はゴミがいっぱい。おそらく生活排水も川に流しているでしょう。
しかし、これがリアルな生活なのだと思いました。
途中、船頭さんが舟を停め、私に水草に咲く花を取ってくれました。
「リリー・ウォーターっていうの。きれいな花でしょう。」
と言って、私にくれました。
私は、一瞬ひるんでしまいました。船頭さんの心遣いは嬉しかったのですが、この汚れた川の水の花…と。しかし、ありがたくいただきました。
もしかして、ここで暮らす人々は、あまりこの状況を気にしていないのでしょうか。
この花を美しいと思う船頭さんの心が美しい。そして美しい花を私にくれた船頭さんの心が美しい。でも、もっとこの川がきれいだったら素敵だな、と思うのです。
素敵な笑顔の船頭のおばちゃんのためにも、きれいなメコンデルタにしたい。
7.舟のプロペラにからみつくプラスチックごみ
メコンデルタツアー中、舟を動かすプロペラにプラスチックが絡まって止まる、ということが何度かありました。
これはいけません。
舟はメコンデルタで生活する人たちの大切な足です。また、大切な商売道具でもあります。プラスチックごみが、その生活を脅かそうとしています。そこに、気づいてほしいと思います。
8.ごみ問題の解決に向けて市民と観光客ができること
市民
①プラスチックごみが土に還らないという認識を高める
特に変えていかなければならないのは、プラスチックごみへの認識だと思います。
ゴミを捨てている人は、ゴミは自然に還る、川はすべてを流して浄化してくれると思っているのかもしれませんが、プラスチックはそうはいきません。
人々のようすを見ていると、プラスチックごみを果物の皮や落ち葉などと同じように、いずれ自然に還るもの、とおおらかにとらえている気がします。しかも、ベトナムは今、急激な経済発展によって街には活気があり、多くのゴミが排出されます。
いま一度、プラスチックが自然に還らず、ベトナムの豊かさを支えている森や川や海を汚し、何百年も残るのだということを周知し、意識の改革を図るべきだと思います。
②ごみの分別と、ごみはゴミ箱へ
きちんと分別をすること。しかるべきところに捨てること。ゴミ箱をきちんと設置したり、ゴミ回収の時間などを整備すること。
処理施設が足りていないということもあるようですが、そちらは行政が行ってほしいと思います。
③タッパーや弁当箱を持参し、屋台ゴミとテイクアウトごみを半分以下にする。
これを、ぜひお勧めしたいです。毎回は難しくても、今まで1日に2回テイクアウトしていた分の1回分をタッパーなどの持参容器にすれば、屋台やテイクアウトのゴミは半減です。
ドリンクも、水筒やタンブラーを持っていって入れてもらいましょう。
これだけで、だいぶごみを削減できます。そもそものゴミの量が減れば、街に捨てられるゴミの量も減りますし、ゴミ箱の数も減らせるかもしれません。
日本には、弁当箱という良いものがありますので、そちらもおすすめします。
④プラかごやマイバッグ持参、ビニル袋の繰り返し利用
日本でも数年前からビニル袋が有料になりましたが、これは良いことだと私は思います。
今までは使い放題で、気づくと家にどんどんビニル袋がたまっていきましたが、今はそれが改善されています。
もらったビニル袋を繰り返し使うだけでも良いので、マイバッグの持参は、だれでも今日から始められる気がします。
観光客
①買い物時にはできるだけ、必要のないビニル袋や容器は断る。
②水筒を持参する。
③マイ箸、マイスプーン、マイフォークを持参する。
9.最後に
メコンデルタの小さな川で、小学生くらいの男の子が釣りをしていました。
とてものどかで良い風景だと思いましたが、きれいな川だったらどんなに良いだろうと思います。ゴミによる川の汚染で健康被害が無いかも心配です。
他人の国のことを、偉そうにこのようなことを書いて申し訳ないのですが、私なりにまじめに考えています。カントーでは朝の散歩をしながらゴミ拾いもしました。だから許してほしいです。
私はベトナムが大好きです。美しく豊かな自然に、活気ある市場と街、豊かな農産物を生かした美味しくて個性的な料理の数々、親切で優しくて笑顔が素敵な人々。
しかし、ごみに対する意識の低さは、ベトナムをごみの山にしています。
なんとか、美しいベトナムを守りたい。ずっと、緑豊かで美しいベトナムで、人々が安心して暮らせるように。
ベトナムのみなさん、ぜひ、ごみ問題を解決し、美しいベトナムを守りませんか。
また、美しいベトナムを守るために、私にできることがあれば、ぜひ協力したいと思います。
美しいメコンデルタ↑
【Email】 rikoken.ch@gmail.com
※こんなことを書いていますが、日本はプラスチックごみ排出量が世界2位という残念な状況です。みんなプラスチックを使いすぎですし、燃やせばよいと思っている人が私の周りにも多くいます。でも、それでは絶対にいけないと私は思っています。日本では、スーパーに行けばプラスチックだらけ。商品の半分はプラスチックを買っているようなものです。リサイクルや繰り返し使える容器に、なぜシフトしないのでしょうか。残念です。
燃やせばよい、リサイクルすればよい、というとは大間違いです。
燃やせば二酸化炭素が出ます。地球温暖化に直結します。リサイクルは、あまりできていないのが現状です。ということは、そもそものプラスチックの製造量、排出量を減らす必要があります。
日本も、変わらなければいけないと思います。
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